宇宙航空研究開発機構（JAXA）とエクサウィザーズ（ExaWizards Inc.、東京都港区）は、有人宇宙拠点内のクルー作業を自動化・自律化するための技術検討を共同で行っている。その取り組みの一環として、汎用性の高い模倣学習プラットフォームを開発した。このプラットフォームを活用して、従来の技術では困難だった作業を実現するAIロボットシステムを構築した。現在、国際宇宙ステーション（ISS）では、船外ロボットアームが宇宙飛行士の船外作業を支援している。しかし、船内での作業を支援するためには、柔軟な素材の操作が必要だ。従来のロボット技術では、形状が変化する対象を操作することが困難であり、作業の精度にも影響を与える課題があった。エクサウィザーズは、マルチモーダルデータを活用して工程の自動化・最適化を可能にするロボットAIソリューション「exaBaseロボティクス」の技術アセットを活用し、汎用性の高い模倣学習プラットフォームを開発した。そして、このプラットフォームを活用して構築したAIロボットシステムにより、従来のロボットでは困難だった作業を実現した。具体的には、柔軟物のファスナー開閉作業を100%の精度で実現した。これは、視覚と触覚の情報を併用することで可能となった。また、力覚を用いて柔軟物におけるファスナーの開閉作業を実現し、直線だけでなく曲線も含む作業を学習させることで、高い精度で実現した。今後は、対象物の場所や形だけでなく、重力環境が変化する状況下でも作業が実施できるように、さらなる開発を進める予定だ。 このAIロボットシステムは、オープンソースのロボットソフトウェアプラットフォーム「ROS（Robot Operating System）」をベースにしており、将来的なシステムの更新や交換にも柔軟に対応可能だ。これにより、一貫性をもったシステム運用が可能となる。