デジタル決済の世界的パイオニアであるVisa Inc.は、2023年秋の年2回脅威レポートを発表し、世界経済を脅かす詐欺スキームの増加傾向に光を当てた。このレポートでは、生成AIツールによるフィッシング詐欺の大幅な急増と、列挙型およびランサムウェアの顕著な増加が浮き彫りになっている。また、詐欺師を裁くためのビザと世界の法執行機関との協力活動についても詳述している。報告書の対象期間中（2023年1月～6月）、世界の不正行為率が予想水準を下回る傾向にあったにもかかわらず、ビザは300億ドル相当の潜在的な不正行為を積極的に阻止することに成功した。しかし、脅威アクターは依然として、標的を絞った高度な詐欺計画を実行し、特定の機関、テクノロジー、プロセスに影響を与えた。このレポートでは、ランサムウェア攻撃が驚くほど増加していることも明らかになった。2023年3月には記録的な数の攻撃が発生し、460件近くの事件が報告された。これは、2023年2月と比較して91%の増加、2022年の同時期と比較して62%の増加に相当する。Visaは世界中の法執行機関と協力し、詐欺師に対して大きな勝利を収めてきた。2023年5月、米国秘密情報局は主要なサイバー犯罪プラットフォームTry2Checkを解体し、管理者の逮捕につながった。カリフォルニア州の地方執行活動「アーバン・ジャスティス作戦」により、東欧の犯罪組織に関連する容疑者20人が逮捕された。2023年4月、国際法執行機関連合がGenesis Market Takedownを主導し、その結果、サイバー犯罪プラットフォームに関与した119人が逮捕された。