大手テクノロジー企業の子会社であるHiSiliconは、最近、Ascend 910Bの発売により、AIチップ分野で顕著な進歩を遂げた。このチップは同社のパブリッククラウドに搭載されているだけでなく、中国国内の他の企業にも供給されている。ハイテク業界の大手企業であるBaiduは、約200台のAIサーバーの構築を目指して、1,000個を超えるAscend 910Bチップを発注した。さらに、iFlytekとテクノロジー巨人とのコラボレーションにより、エンタープライズレベルの言語モデル用のハードウェアとソフトウェアを統合し、AIアクセラレーション用のAscend 910Bを組み込んだ「Gemini Starプログラム」が誕生したという。

TrendForceによると、Ascend 910BはSMICのN+2プロセスを使用して製造されると推定されているが、これには独自の一連の課題が伴う。同社の最近のスマートフォン市場への進出により、SMICのN+2プロセス能力のかなりの部分がこれらの製品に充てられることになり、AIチップの生産が制約される可能性がある。さらに、SMICがエンティティリストに載ったことで、高度な製造装置へのアクセスにも懸念が生じている。Ascend 910Bの性能は競合他社にまったく及ばず、独自のソフトウェアエコシステムを備えているにもかかわらず、米国の規制強化により、中国メーカーがこのチップにさらに舵を切る可能性があり、中国にとってAIエコシステムを強化する機会が浮き彫りになっているという。

米国の制裁に対抗して、中国のCSPはAIチップ技術の自律性をますます重視している。Baiduは既に独自のASIC AIチップであるKunlunxinを導入しており、2023年以降にAscend 910Bチップを統合することを目指してさらなる世代を計画している。アリババは、CPU IPサプライヤーを買収し、T-Head Semiconductorを設立した後、Hanguang 800によるASIC AIチップ開発にも着手した。当初は外部パートナーと協力していたが、Alibabaは将来のチップについては社内設計機能に移行すると予想されているという。

米国の制裁は、最近エンティティリストに追加され、先進的な製造プロセスに対する新たな規制が加えられるなど、中国のハイパフォーマンスコンピューティングとAIセクターに広範な影響を与えている。これらの措置により、AIチップのハードウェア設計に対する監視が強化され、業界リーダーからのハイエンドチップの供給に影響が及んでいる。さらに、現在の主流市場のチップは古いプロセスに基づいているにもかかわらず、半導体設計用のEDAツールに対する制限は、中国にとって先進プロセスの導入や次世代HPCまたはAIチップの開発において長期的な障害となることが予想されるとのことだ。

出典:プレスリリース