2023年7月21日のMonash大の発表によると、Adeel Razi.准教授が主導するプロジェクトが国家情報安全保障研究助成プログラムから約60万オーストラリアドル(約5600万円)の資金を獲得した。

この研究は、シリコンチップ上で人間の脳細胞を成長させて、プログラム可能な生物学的コンピューティングプラットフォーム「DishBrain」システムを構築することを目的としている。つまりAIと合成生物学を融合させて、シリコンベースのハードウェアの性能を超える可能性を模索しているのだ。この新技術は、ブレインマシンインターフェイスや創薬などの分野に広範囲に影響を与える可能性がある。

同研究プログラムの課題には、皿の中で培養された約80万個の脳細胞に、目標に向けた作業を行うよう訓練することが含まれている。昨年、この研究チームは、単純なテニスに似たコンピューター ゲーム「Pong」をプレーできる脳細胞を発表し世界的な注目を集めた。今回は、より複雑な行動を学習させようとしている。

今の研究の主な焦点の1つは「継続的な生涯学習」だ。これにより、マシンは古いスキルを忘れることなく新しいスキルを習得し、変化に適応し、以前に学習した知識を新しいタスクに適用できるようになる。同時に、コンピューティングに使うリソースやエネルギーを節約できる可能性がある。この能力は、「壊滅的な忘却」に悩まされる現在のAIとは対照的だ。