NVIDIA の公式ブログによると、科学者たちはAIと高速応答脳波計(rapid-response EEG)を使ったせん妄の診断で大幅な進歩を遂げたという。

その成果を発表した論文「Supervised deep learning with vision transformer predicts delirium using limited lead EEG」は、サウスカロライナ大学のMalissa Mulkey氏、パデュー大学のHuyunting Huang氏、イーストカロライナ大学のThomas Albanese氏とSunghan Kim氏、パデュー大学のBaijian Yang氏によって執筆された。

せん妄は、混乱、見当識障害、注意力や意識の変化など、精神状態の突然の変化が特徴だ。 しかし、従来の臨床方法では検出することが困難なことが多く、患者ケアに大きなギャップが生じている。 早期発見は、より早い回復と生活の質の向上につながるため、患者にタイムリーかつ適切なケアを提供する上で非常に重要だ。

EEGの導入で、スクリーニングの精度が上がり、価格が手頃になる可能性はあるが、一方で熟練した技師や神経内科医の不足が課題となっている。

しかし、そこにAIを組み合わせることで、神経科医が所見を解釈する必要がなくなる。例えば症状が発現する約2日前にせん妄に関連した脳波データの変化を検出できるようになるという。

ブログによると、研究者らはVision Transformer(ViT)と呼ばれるAIモデルを利用した。 ViTは、もともと自然言語処理のために設計されたものだという。

彼らの研究では、ViTとNVIDIAのGPUの能力を活用することで、97% という驚くべき精度を達成したという。 さらにViTをEEGデータとともに使えば、通常は長大な時間がかかる専門トレーニングの必要がなくなり、人手不足の解消にも役立つ。

この研究は有望な結果を示しているが、このアプローチの広範な適用可能性と有効性を確実にするためにはさらなる研究と検証が必要だ、と研究者らは述べている。