Microsoftが公開したユーザー事例によると、EY(旧Ernst & Young)はMicrosoftと共同で、EYのクライアントが網羅する159カ国、49言語の従業員からの給与に関する質問に答える生成型AIチャットボットを作成した。

Azure OpenAI ServiceとChatGPTを使って開発された新しいチャットボットは、大規模言語モデル(LLM)を活用して給与明細書、税制、雇用主の方針からデータを分析し、複雑な給与に関する質問に対して正確かつ効率的に回答を提供するという。

給与に関する問い合わせは、組織にとって特に難しいものだ。COVID-19の大流行は、リモートワークの台頭でさらに問題を複雑にしている。

給与計算の分野で改革の必要性を認識したEYとMicrosoftは、ソリューション開発のために生成AIを採用した。EYのチームはMicrosoftと緊密に連携し、Azure OpenAI ServiceのChatGPTを活用してチャットボットを訓練した。さまざまなソースからのデータがボットにアップロードされ、各国の給与コンサルタントは、従業員が最近した実際の質問を共有したという。この情報はチャットボットが十分な理由と正確な回答を提供できるようにするトレーニングに使われた。

Azure OpenAI Serviceへのチャットボットの導入は、セキュリティーを保証するだけでなく、EYの開発者にユーザーフレンドリーで効率的なツールを提供するものだった。チャットボットは、社内テストにおいて、27以上の言語での質問に答えるなど、素晴らしい能力を発揮しているという。

現在は、従業員の満足度、雇用者のコスト削減、1回の対話で問い合わせに正確に対応する能力を測定するための試験運用中だが、EYによると、チャットボットは給与計算に関する質問の80%以上に対応したという。

事例記事の中でEYのSheri Sullivan氏は、AIチャットボットの導入は、デジタル・トランスフォーメーションと革新的なソリューションによる実世界のインパクトの実現に対するEYのコミットメントを反映していると述べている。