IBMとオックスフォード大学の研究者は、AIが生成した新型コロナウイルス対策薬の検証に成功したと発表した。Science Advancesに掲載された彼らの研究では、これらの抗ウイルス薬を数力月以内に設計・合成できる能力を実証したとのことで、将来の危機における医薬品開発を迅速化をする可能性がある。

研究チームは当初は懐疑的だったが、生成AIを利用してSARS-CoV-2ウイルスをブロックする分子を設計した。EnamineおよびOxfordと共同で、彼らは生成AIが3D構造の知識がなくても効果的な抗ウイルス薬を作成できることを証明した。

研究チームは生成モデルを使用して、従来手法に比べほんのわずかな時間で4つの潜在的な抗COVID-19薬を特定した。IBMは、クラウドプラットフォーム上でモデルと化学基礎モデルを探索するための ウェブベースのインターフェイスも提供を開始した。

生成AIは、新興ウイルスや薬剤耐性株への取り組みにおいて変革の可能性をもたらす。この研究で特定された2つのAI生成抗ウイルス薬は、ウイルスのスパイクタンパク質に特異的に結合し、既存の治療法を補完するアプローチを提供する。

研究者らは、生成AIと逆合成予測を組み合わせることで、最大50%という高いヒット率を達成した。彼らのモデルであるControlled Generation of Molecules(CogMol)は変分オートエンコーダーを採用しており、分子とタンパク質情報の大規模なデータセットでトレーニングされた。

承認にはもちろんさらなるテストや、臨床試験が必要だが、この研究は将来の医薬品開発における生成AIの可能性を示している。AIの支援で、さまざまなタンパク質部位に作用してウイルスが治療を回避する能力を妨げる薬剤が作成されて、パンデミックに対してより迅速な対応が可能になると期待される。